こんにちは、hannocです!
いつもhannocをご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。
朝晩の風に、秋を感じる季節になりました。りんごがおいしい時期ですね。
9月から販売している新作ケーキ「アンサンブル」は、りんごとスパイス、そしてお酒の香りを重ねた一皿です。
実はこのケーキ、完成までに4回の試作を重ねています。
hannocでは、新作の開発をパティシエがそれぞれ担当しています。得意なお菓子も、好きな味わいも、パティシエによってさまざま。だからこそ、ケーキの数だけ、生まれるまでの物語があります。
今回の担当は、パティシエのゆずちゃん。
本日のブログでは、「アンサンブル」を例に、hannocのケーキが生まれるまでの様子をご紹介いたします^^
試食のたびに見えてきた課題や、思いがけない発見も、ぜひ最後までご覧ください!
---------------------------
きっかけは、「秋のケーキを作りたい」
りんごとスパイス、華やかに香るお酒を使った、大人っぽい秋のケーキを作りたい。ゆずちゃんのそんな思いから、開発はスタートしました。
ちょうど同じころ、サービススタッフのゆーみんも「タルトタタンのようなケーキを作りたい!」と考えていました。りんごがおいしくなり、キャラメルの香ばしさが恋しくなる秋冬にこそ、ぴったりのお菓子です。ふたりの思いが重なって、目指す形が見えてきました。
フランスの焼き菓子であるタルトタタンに、ゆずちゃんの好きなスパイスとお酒の香りを重ねて、ケーキに仕上げていくことにしました。
1回目は、頭の中のケーキを形にする
hannocの開発に欠かせないのが、「開発シート」。作りたいケーキを、まずは絵と言葉にしてみるところから、試作が始まります。試食のたびに、感じたことも次の課題も、その場で書き込んでいく。試作と一緒に育っていく、手書きの一枚です。

そのイメージをもとに作った最初の試作では、同じ材料で「重ねる順番」を変えた2パターンを作り、食べ比べてみました。
頭の中にしかなかったケーキが、はじめて目の前に並んだ日。
厨房には、りんごとキャラメルの甘い香りが広がっていました。

左は、りんごの上にクリームをのせたタイプ。右は、りんごを一番上にしたタイプです。食べ比べると、「りんごが上の方がいいのでは?」という声が。右のタイプで進めることが、この日に決まりました。決め手は、見た目。りんごが主役のケーキだからこそ、りんごが一番上に見える方が魅力的でした。

食べてみて見えてきた課題は、2つ。ひとつは、土台のクッキーが硬くて厚く、フォークで切りにくいこと。もうひとつは、キャラメルがねっとりして、歯につきやすいことです。りんごとキャラメルの相性には手応えがあっただけに、この2つを直すことが、次の宿題になりました。キャラメルの濃いめの味は好評で、ここはこのままいくことに。
りんごは、煮ると形が崩れてしまったので、次はもっと大きく切って、形を残すことにしました。
2回目は、宿題をひとつずつ直す
2回目は、1回目の宿題を直すところから。土台のクッキーは、薄くして食べやすく。りんごは、大きくカットしてごろごろと入れました。大きくすると、断面がぐっと可愛くなりました。
ねっとり感を解消しようと、キャラメルは煮詰めてみました。ただ、今度は煮詰めすぎて、硬くなってしまいました。
あわせて、生地とりんごの組み合わせを変えた3パターンを用意して、食べ比べました。試食の感想は、その場で開発シートに書き込んでいきます。

トレイに並んだ3つは、左から順にこんな組み合わせです。

・ダマンドフレッシュ:アーモンドクリームを使った生地に、生のりんごを合わせたもの
・ジェノワフレッシュ:ふんわりしたスポンジ生地に、生のりんごを合わせたもの
・ダマンドプレザーブ:アーモンドクリームを使った生地に、シロップで煮たりんご(プレザーブ)を合わせたもの
食べ比べた結果、おいしかったのは、ふんわりしたスポンジ生地のタイプでした。次の試作では、このふんわり感を活かして、生地はバターの風味をきかせたものに。硬くなったキャラメルは、味はそのままに、作り方から見直すことにしました。
3回目は、直したところを確かめる
キャラメルは作り方を見直し、生地はバターの風味をきかせたものに。りんごは、果肉がしっかり見えるよう、さらに大きくごろごろと。2回目で見えた課題を、ひとつずつ形にしていきました。

この回は、りんごの色味や、金箔をのせるかどうかを変えたケーキも並べて、見た目を比べました。金箔は、りんごのごろごろ感が主役に見えるなら合いそう。でも、浮いてしまうかもしれない。悩みどころです。食べては書き込み、直しては作る。その繰り返しで、完成が近づいていきました。

4回目は、見た目も味も決まる
そして迎えた4回目。見た目も味も、すべてが決まりました。りんご、キャラメル、生地。何度も食べ比べてきたひとつひとつが、ここでぴたりと重なりました。りんごは、タルトタタンらしくキャラメリゼすることに。りんごの色味も決まり、金箔はワンポイントでのせることに。

完成したケーキを手に、商品開発の責任者と。この一枚は、このブログのために撮影しました。
まだ暑さの残る時期でも心地よく食べていただけるよう、大切にしたのは軽やかさ。卵をしっかり泡立てて、ふんわりと焼き上げた生地に、焦がしバターとシナモンで香ばしさとコクを重ねました。その上に、濃厚なバニラクリームと、キャラメリゼしたりんごをのせています。クリームには、りんごから造られるお酒「カルヴァドス」がほんのり香ります。甘酸っぱさとほろ苦さ、スパイスとお酒の余韻が、順に広がります。

名前の「アンサンブル(ensemble)」は、フランス語で“共に”の意味。りんご、スパイス、お酒。いくつもの味わいを一緒に楽しんでほしいという思いから名付けました。
一皿のケーキの向こうには、いろんな人が重ねてきた時間と言葉があります。
秋の午後、紅茶やコーヒーと一緒に、つくり手たちの「アンサンブル」も感じていただけたら。
---------------------------
hannocでは、新しいお菓子はパティシエひとりの発想だけで生まれるわけではありません。厨房に立つ人も、店頭でお客様と接する人も、それぞれが感じたことや思いついたことを持ち寄りながら、少しずつ形にしていきます。
こうして試作の過程をお届けするのも、「みんなでお菓子を作り上げる」というhannocの姿勢を、味わうだけでなく知っていただけたらという思いからです。一皿のケーキの向こうには、いろんな人が重ねてきた時間と言葉があります。お店で目にするケーキのひとつひとつに、そんな背景があることを、これからも少しずつお伝えしていきます。
「アンサンブル」は、hannocで販売中です。ぜひ、お召し上がりください^^
